Class of 2025 Case 2

留学形態(Sponsored or not): 社費
勤務先(Previous job): 製造業(化学メーカー)
職歴(# of years at job): 9年
職種(Function): 自社医薬品の学術・販促
大学名(Graduated university): 東京大学 / 東京大学大学院
大学時代専攻(Major): 生物情報科学 / 生物化学
GPA: 学部3.4, 院4.0
TOEFL:Total 105  (R30 / L29 / S22 / W24)
GMAT:Total 730 (V38 / Q50 / IR7 / AWA5.0)
海外経験(International experience):なし(1週間未満の出張・旅行程度)

Why MBA?

 環境を大きく変えたい、スキルアップしたいと思ったためです。

 国内大手化学メーカーの医薬品部門で9年間、営業系の仕事をしていました。

 具体的には、自社で製造開発した医薬品の販売を拡大させるため、日本・中国・韓国・タイ・インドネシア・フィリピンの製薬会社と一緒になってマーケティング戦略を考えたり、販売会社を切り替えるライセンス交渉をしたりしていました。

 仕事や職場環境は自分に合っていて、楽しく充実した会社員生活だったのですが、海外で生活することに強い関心があったのと、今の延長線上で仕事をしているだけでこれからも・どんな場所でも通用するスキルが身につくのだろうか、という疑問からMBA受験を志しました。

Why Fuqua?
1. エッセイに書いたWhy / Why Fuqua you discussed in your essays

 製薬業界で働いており、この先もHealthcare Businessに関わり続けたいと思っているので、FuquaのHSM (Health Sector Management) プログラムにどうしても参加したい、というのが一番の志望動機でした。

 また、様々なメンバーの長所をうまく噛み合わせることでチームの力が最大限発揮される、というのが持論なので、これまでの大学生活、職場や趣味の場でチームワークを発揮したエピソードを挙げつつ、それが “Team Fuqua” の精神とマッチしており自分に合った環境だと感じる、ということをアピールしました。

2. エッセイに書かなかったWhy / Why Fuqua you didn’t discuss in your essays
 Fuquaのエッセイは文字数制限こそあるものの、本当に「自分」という人間をとことん文章で表現するよう求めてくるので、書きたいのに書けなかった、というポイントはあまりありませんでした。

 強いて言うなら、Alumniの皆さんの人柄の良さ、でしょうか。

 MBA受験中、様々な学校の説明会を聞きましたが、プログラムは素晴らしくて志望度も高いのにどうもアドミやAlumniと考え方が合わないな、と思う学校もありました。Fuquaでは誰に何を聞いてもその違和感が無かったので、自分にフィットしているな、と感じました。

3. 合格後に気が付いた魅力 / Anything about Fuqua you have found appealing after your enrollment

 ダーラムの住みやすさです。

 COVID-19の影響もあり、合格前は一度もCampus Visitできませんでしたが、合格後の2月に開催されたBDW (Blue Devil Weekend) という合格者向けイベントで初めてダーラムを訪れ、のどかな雰囲気と大学を中心としたコンパクトな生活圏に魅力を感じました。今(2023年7月)住み始めたばかりですが、初の米国生活をEnjoyしています。

受験プロセス / Application history

※はじめに:私は「カウンセラーや塾を活用せず極力自学自習で乗り切る」という異端の方法を取りましたが、賢明なMBA受験生の皆様は他の合格体験記を参考にされることを強く推奨いたします。

2021年9月 社費MBA留学生の募集要項が全社共通掲示板に出る。ちょうど自分が主担当の大きなプロジェクトが片付く目処がつき、仕事スキルの伸び悩みも感じていたので「行くなら今しかない」という衝動に駆られた。勢いで上司に相談したところ、応募を認めてもらえた。

2021年9~11月   思い切って応募したは良いものの、11月末までにTOEFLとGMATのスコアを取得し、人事に提出しないと社内選考してもらえないことを知る。そもそもTOEFL・GMATともどんな試験かよくわかっていなかったが、急いで11月中旬のTOEFLと11月末のGMATを予約した。すぐにテスト形式を調べ、約70日間は仕事の時間以外全てTOEFL対策に注いだところ、奇跡的にトータル105を取得できた。

2021年11月末   TOEFL終了後、期限の11月末までに残された1週間でできる限りのGMAT対策をし、Official Prepでは730を出したものの、本番は620 (V25 / Q50) と微妙な結果に。

2021年12月   MBA留学への熱意に奇跡のTOEFLスコアと微妙なGMATスコアを添えて人事面談に臨む。TOEFLスコアだけは褒めてもらえたが、手応えは無かった。

2022年1月   上司からMBA派遣内定の一報を受ける。人事面談から1ヶ月以上経過し、MBAの話はほぼ無くなったものと思っていたので嬉しさと焦りが交錯していた。

2022年1~4月   せっかくMBAに行くからには米国トップスクールを目指すことを決め、それにはGMAT620からのスコアアップが最優先と判断。4月のGMATを予約し、3ヶ月間公式問題集をひたすら解くが、結果は660だったためスコアキャンセル。自学自習スタイルに限界を覚える。

2022年5~6月   インドの会社が提供しているeGMATというオンライン学習システムの2ヶ月コースを契約。無料のお試しウェビナーを何回か受けてみて手応えを掴んだので躊躇は無かった。eGMATでは学習開始前のテストスコアと目標スコアを入力すると、AIが自動で対策すべき教科と対策にかかる推定時間を教えてくれる。私の場合は200時間勉強すれば730が取れるという診断だったため、6月末のGMATを予約。インド英語で展開されるオンライン講座約200時間分を倍速再生も駆使して2ヶ月で受講しきった。

2022年6月末   目標通り730を取得。短期間の準備ながらここまでは概ね順調に進められた。

2022年7~9月   「ヘルスケアに強い」ことを軸に学校選びを開始。とは言えどの学校が何に強いのか全くわかっていなかったため、片っ端から各校のオンライン説明会に参加しながら校風やプログラムの特色を掴んでいった。併行して各校のエッセイにも着手。しかし、カウンセラーは費用が高いのでエッセイがある程度形になってからお願いしよう、と尻込みしているうちにR1の締切が近づいてきてしまい、結局独力で推敲することに。

2022年9月末   Fuquaを含めR1で3校に出願。

2022年10月   Fuquaともう1校からInterview Invitationを受ける。残り1校はInterview無しで不合格となった。受験校数を絞ったにも関わらず1校Interview無し不合格となったことには不甲斐なさを感じたが、Alumniやエッセイ課題との相性の悪さも感じていたのでご縁がなかったのだと割り切る。結果的にFuquaのAlumniとプログラムの魅力に気付かされ、Fuquaに合格したいというモチベーションが更に高まった。

2022年11月   初旬にFuqua以外の1校のOnline Interviewを受ける。アメリカ人AlumniとのZoomだったが、うまくこちらの話を拾ってくれ、事前にネットで調べた想定問答から大きく外れる質問もなかったのでスムーズにInterviewを受けられた。この経験をもとにFuquaの想定問答をブラッシュアップし、11月中旬に日本人卒業生とのFace-to-Face Interviewを受けた。正直、Fuquaに受かっているかどうかは半々、もう1校はおそらく合格だと思っていたが、結果を待つのみ。

2022年12月   FuquaのR1合格発表日、ひょっとしたら深夜(米国時間午前)に連絡があるかもしれない、と思いつつ入浴して気持ちを落ち着かせていたところ、妻から「電話鳴ってたけど大丈夫?」と声をかけられる。急いで身体を拭き、着替えていると2回目の着信があったがまたも取り損ねる。すぐに不在着信履歴を確認し、発信地がDurhamと表示されていたため慌ててかけ直すと、その場で合格を伝えられた。嬉しすぎて夜中にも関わらず上司に電話で報告してしまったが、温かく祝福していただいた。

1週間ほどしてもう1校からも合格をいただいたが、Fuqua進学を決心し、受験終了。突然の思いつきから約14ヶ月後のことだった。

受験対策 / Your approaches and know-hows to each application item

1. TOEFL

 もともとTOEICでは900点台後半を安定して取れていましたが、TOEFLはSpeaking (S), Writing (W)もあるのがネックでした。過去問を何回も本番通りの時間制限で解き続け、Reading (R), Listening (L) を20点台後半で安定させつつ、S, Wを20点台前半でまとめる戦略で臨みました。

 R, Lのインプット系もS, Wのアウトプット系も、とにかく語彙力がないと厳しいので、Mikanというスマホアプリに課金し、暇さえあればTOEFL対策単語集からアプリが生成してくれる4択クイズにチャレンジしながら単語を覚えました。

 たまたま1回目の受験で歯車が噛み合ったので良かったですが、S, Wはきちんと専門家に採点してもらいフィードバックを受けたほうが良いと感じました。Sは数十秒の制限時間内に「回答を考える・喋って尺に収める」という英語以外の(アナウンサーのような)技術が求められますし、Wも「スペルチェッカー無し・予測変換無しでのタイピング」に気を取られるので論理構成を考えるのが難しかったです。

2. GMAT
 GMATは試験形式が今後大きく変わるようですので、細かいTipsは今後の受験生の皆様には役に立たなくなると思いますが、本質的には英語や数学の皮を被ったロジカルシンキングのテストだと思います。

 Quantitativeは理系で数学の基礎ができていたのと、時間制限の短い問題をモグラたたきのように解き続けるのが性に合っていたので、英語での数学用語とData Sufficiencyの問題形式に慣れてしまえば50で安定しました。

 Verbalはなんとか公式問題集で自学自習しようと思ったのですが、はじめからeGMATなど外部教材を使うべきでした。SC (Sentence Correction) / CR (Critical Reasoning) / RC (Reading Comprehension) のうち、RCはTOEFLのRに近いので「聞かれたことに答える」ことがしやすいのですが、SC, CRは「そもそも何が聞かれているかわからない、わかったつもりになっているがわかっていない」という現象が発生しやすいです。私の場合はeGMATで体系的な解き方を学習することではじめて、「何が聞かれているかわかる」→「聞かれたことに答えられる」状態になりました。

(ロジカルに「聞かれたことに答える」のと、単に「質問に対してそれっぽい返しをする」ことが異なるのは、例えば政治家の答弁を聞いているとよくおわかりいただけるかと思います。)

3. エッセイ / Essay
 カウンセラーについては前述の通り起用しなかった(できなかった)ので、最低限の文法・スペルチェックのみGrammarlyの有料版に任せ、あとは自力で書き上げました。

 第3者の目に頼れないので、GMAT Clubの掲示板や海外のカウンセラーによる学校ごとの傾向と対策記事を読み漁り、「自分のストーリーが学校の求めるものに合っているか」「自分のストーリーは陳腐でないか(→アメリカ・インド・中国などの優秀な人のものに負けないインパクトがあるか)」を自問自答しました。

 英語で書き出すと論理構成がしづらいと思ったので、まずは日本語でネタ出しをして、冗長な部分やインパクトの弱い部分を消して書き直すことを繰り返しました。推敲のたびに書いたものの8割がたはボツにしたので相当ブラッシュアップできましたし、それによってWhy MBA? Why Fuqua? への回答がどんどんクリアになっていったと思います。

 さらに日本語で書いたネタを英語に訳していき、語数の調整や、日本語と英語の表現の違いによりニュアンスが伝わりづらくなる部分の明確化をしていきました。

 Fuquaのエッセイは25 Random Thingsが有名ですが、多角的に自己アピールすることができるのが特徴だと思います。私は、 “Why MBA?” と  “Why Fuqua?” を軸に、「自分の将来の展望を述べる」→「様々な過去の体験、エピソードを用いて具体的にそれらの動機を裏付ける」というロジックが、25 Random Thingsだけでなくエッセイ・出願書類全体を通じて浮かび上がるようにまとめました。

Why MBA? の軸:

 「自社の製品や組織をマネジメントし、将来的にはリーダーになりたい。」

→「今までにはこういう形でリーダーシップを取り、一定の成果を上げることができたが、このような点で経験不足を感じたのでMBAで経験を積みたい。」

 「今の担当事業は業績が伸び悩んでおり、立て直したい。」

→「製品の陳腐化と既存マーケットの縮小が課題だと感じており、マーケティングによる差別化と新規市場開拓の手法をMBAで学びたい。」

 「将来的には海外駐在したい。」

→「駐在員になるためにはマネジメントと異文化コミュニケーションの力を伸ばす必要があるのでMBAで身につけたい。」

Why Fuqua? の軸 :

 「ヘルスケア業界で働き続けたい。」

→「FuquaのHSMを受講し、業界についてより深く理解したい。」

 「自分の理想とするリーダーシップスタイル、価値観・倫理観はこうだ。」

→「これらは “Team Fuqua” の精神や Dean Bill Bouldingの唱える “IQ, EQ, DQ” とマッチしている。だからFuquaで学びたい。」

4. インタビュー / Interview

 前述の通り、日本人卒業生の方から東京でF2F形式のインタビューを受けました。日本人相手とは言え、インタビュー中は全て英語でのやり取りですし、質問項目はアドミッションから指定されているものだと思いますので、特にどこで誰にインタビューされてもやることは変わらないと思います。ただ、F2F形式なので、インタビューの前後には少し日本語で雑談することもでき、それによりプラスアルファの印象を与えることができたかもしれません。

 質問項目は極めてオーソドックスなもので、事前にネットでリサーチして想定していた内容通りでした。インタビュワーは基本的にCV以外の情報を与えられていないので、エッセイで伝えたメッセージを口語で伝えることに注力しました。エッセイの段階で “Why MBA?” と “Why Fuqua?” を相当クリアにしてあったので、特別な対策はしませんでした。

最後に / Message to applicants
MBA受験は大変なプロセス、と言われますが、自分を見つめ直す良いプロセスだと感じました。

・スコアメイクを仕事や家庭と両立させるのが大変→時間の活用方法を見つめ直す。家族への感謝を新たにする。

・エッセイやインタビューの構成を考えるのが大変→自分のキャリアのこれまでとこれからを見つめ直す。人生の新たな目標が見えてくる。

大変な分、やりがいも大きいですので、もしこの体験記を読んで少しでもMBAやFuquaに興味を持っていただけたなら、試しに英語を勉強する、GMATの問題を見てみる、エッセイ課題を見てみる、このサイトから在校生・卒業生にコーヒーチャットを申し込んでみるなど、何かアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

We are more than welcome to help you. Go Team Fuqua!