Class of 2015 – Case4

 

職歴 日系ITメーカー(10年):営業、新規ビジネス立上げ、海外戦略
海外経験 学生時代の語学留学でアメリカ(1か月)、イギリス(2か月)
出身学部 経済学部
社費/私費 私費

Why MBA?

学 生時代の体育会での経験を活かして、キャリアの初期をコミュニケーションが強い、勢いのある営業として過ごしてきた中、年次が上がってきたことや、担当業 界が不況になり商談獲得が困難になって来たことで、自分を変革していく必要があると感じた。その後、もっと社外の人と積極的に話すようにし、多くのMBA ホルダーとも知り合い、彼らの将来への明確なビジョンや、会社の枠に捕らわれない考え方に刺激を受け、自分自身を成長させるためにMBA受験を決意した。 MBA受験の過程で、仕事への意識も変わり、新しい挑戦として、新規ビジネスの立上げや海外戦略部門への異動をした。そのような経験から、漠然としていた Why MBAも明確になり、MBAで以下の3点を学びたいと思うようになった。

1.継続して成功する戦略を学びたい:新規ビジネスを立ち上げる中で、明確な戦略がないと継続した成功が出来ないことや、人も育たないことを学んだ。MBAで体系的な戦略を学びたいと思うようになった。

2. 多様な人材を率いる力をつけたい:海外戦略部門で外国人と働いた経験から、文化的な背景や考え方の癖などは、一緒に働きながら、肌感覚として得ることが大 切と感じた。また、MBA後はグローバルで事業創造に関わりたいと思い、アメリカのMBAで様々な国籍の人々とグループワークやプロジェクトに取り組む経 験を得たいと思った。

3.MBAの教育方法や世界中からくるロールモデルを知りたい:10年間のキャリアにおい て、外部環境が急速に変化し明確な答えがない中で、従来のやり方に捕らわれず、自分で考え、新しい価値創造をする人材が必要と感じていた。アメリカの MBAは、自分でキャリアを構築し、世の中にインパクトを出す人材を輩出していると思う。世界中から集まる将来のリーダー層と、そのような人材を集めるア メリカの教育を、現場に行って、肌感覚で知りたいと思った。将来、私もそのような人材を日本から輩出することに貢献したいと思った。

Why Fuqua?

1.General Management:長期目標では事業会社の経営を考えているため、経営に関わる要素をバランスよく学べる学校を選択した。Fuquaはどの科目もバラ ンスよく受講でき、教授陣のレベルも高いと思った。また、学生も多様なバックグランドが多く、彼らと一緒に勉強や生活をすることで、自分もさらに視野を広 げられ成長できると感じた。

2.チームワーク重視:“Team Fuqua”という言葉に代表されるように、チームワークを重視し、多くの授業においてチームで取り組むことに魅力を感じた。海外戦略部門で、バックグラ ウンドの違う外国人をまとめていく難しさを経験し、場数を踏んで、自分なりのスタイルを構築していくことが一番良いと思い、チームワークが多いFuqua を選択した。

3.実践プログラム:事業会社で周囲を巻込みながら実践し、結果を出すことで学びが大きくなると感 じた。そのため、MBAでは授業で習った知識やノウハウを、実践で試せるプログラム多い学校を探した。FuquaはFuqua Client Consulting Practicum (FCCP) やSmall Business Consulting (SBC)など多くの実践プログラムがあるので、得た知識を実践する環境があり、自分にあっていると思った。

受験プロセス

アメリカのMBAを志してから、約5年で合格することが出来た。あまり詳細に記載しても冗長になるので、概要を記載する。

【2007 年】 MBA受験開始。MBAについてもあまり分っておらず、漠然と行きたいと思っていた。勉強を開始しながら、多くのMBAホルダーの方に話を聞いた。 今から考えると、MBAへの憧れは強かったが、自分の人生にとってなぜ必要かなどあまり深く考えられていなかった。
【2008年~2010年】 TOEFL、GMATを集中して勉強。受験回数はTOEFL:50回以上、GMAT:10回以上を受けて、ようやく出願出来 る点数を獲得(TOEFL:105点、GMAT:680)。エッセイに関しては、今までのキャリアの棚卸、カウンセラーやMBAの先輩との議論で、キャリ アゴールの土台を作った。2010年には数校受験するも不合格。この時は、自分のキャリアや強み弱みの深掘りが浅かった。エッセイも過去の合格した人っぽ くしようとし過ぎていたり、MBAっぽいゴールを設定していた。
【2011年】 TOEFLが期限切れで再受験を開始。受験校を絞って受験するも、1校Waitの末、不合格。結果が出なく、かなり落ち込んだが、1か月ほどリフレッシュして、再度挑戦することを決意。
【2012年】 会社の先輩に付き合って頂き、2011年の結果を分析して、2012年の戦略を考える。9月にTOEFLで106点獲得。9月にDuke をEarlyで出願、その他数校を1stで出願。11月にDukeに合格。2012年に実施した概要は、アメリカのMBAが受験生に何を求めてるのかをカ テゴリー別に分類。其々のカテゴリーで自分の現状を分析。今後変えられることに集中し、自分なりの価値の提供の方法を検討。自分の過去の経験と自分の性格 や生き方、この5年間のMBAの挑戦で得た気づきや成長した点を整理した。また、学校の説明会では自分の今までの人生や今後の展望、なぜMBAを受験して いるのかを資料にまとめ、アドミッションに渡した。インタビューもなるべくオンキャンパスで受け、アドミッションにもアポを入れて、直接自分の考えを伝え た。

受験対策

全般

個 人的な経験から、合格のためには巷の噂(低GMATで合格、社費が必須、エッセイ勝負など)に惑わされず、ビジネススクールが受験生に求めていることを理 解し、自分のポジショニングを考え、自分なりの価値の提供の方法を見つけることが重要だと思う。以下に、1.ビジネススクールが求めていること(私見)、 2.各モジュールで実施したこと、を記載したい。その前に前提として、アメリカのビジネススクールの特徴を記載したいと思う。一つ目は、各ビジネススクー ルはビジネススクール間で競争しなければならないので、優秀な人材を取る→就職率や年収増加率を上げる→会社からの評価が上がる/著名な卒業生が出る→雑 誌などのMBAランキングが上がる→優秀な人材が集まる、というサイクルを目指している。二つ目は、アメリカのMBAは基本的にアメリカ人のための学校 (インターナショナルの学生が多いDukeでも6割がアメリカの学生)なので、インターナショナルの学生はアメリカ人や他国の学生にどう貢献してくれるの かを期待されている。

1. ビジネススクールが受験生に求めていること(私見)

前提を踏まえた上で、ビジネススクールが受験生に求める観点を記載したいと思う。其々の項目でビジネススクールから見た投資案件としての自分のポジショニング(魅力度)を理解し、今から変えられる事に注力し、自分なりの価値提供のストーリーを考えることが大切だと思う。

(1) アカデミック
① 学歴:日本の各大学の評価は、日本国内での評価とほぼ同等。さらに海外の大学を卒業した受験生が入る。評価が高い大学を卒業した人の方が有利なのは間違いないと思う。成績(GPA)も加味される。
② TOEFL:英語の能力を測るテスト。トップスクールと呼ばれるところに合格するためには105点以上が必要になると思う。
③ GMAT:授業について行けるかを測るテスト。男女で若干の差異があると思うが、アメリカのトップスクールは680点以上(出来れば700点以上)で合格の可能性が見えてくると思う。

(2) プロフェッショナル
色々な意見があると思うが、一般的に日本人に限って言うと、業界としては、外資系トップファーム、総合商社、金融(投資系)が強いと思う。日本企業が強 かった時代は、大手日系メーカーも多かったと聞くが最近ではあまり聞かない。また、職種としてはコンサル系、企画系、プロフェッショナル職(会計士など) が多いと思う。

(3) 資質/個性
主にエッセイ、インタビューで表現することになると思うが、以下のような観点で自分なりのオリジナリティを出す必要がある。定性的なので、一概に何が良い とは言えないが、他の受験生と同じような話だと埋もれてしまう可能性がある。例)成熟度、チームスキル、コミュニケーションスキル、リーダーシップ、学校 コミュニティーへの影響力、キャリアの成長度合、キャリアゴールへのフォーカス(ゴール・プログラムの妥当性)

(4) その他
海外経験:一般的に帰国子女や仕事で海外駐在している方が有利だと思う。
一芸:元プロスポーツ選手、数学オリンピック優勝、俳優などの一芸があると他の項目をカバーできる可能性がある。
コネクション:有名人の子息、大学との特別なコネクションのある企業派遣、などは有利に働く可能性があると思う。
奨学金:フルブライト奨学金、企業派遣などもある程度有利になると思う。

各 項目の総合的な評価で合否が決まると思う。各受験生で状況も異なると思うので、自分のポジショニングを分析した上で、ビジネススクールにどのようなストー リーで訴求していくのかを考える必要がある。全てが揃っていれば、もちろん素晴らしいが、そうでなくても、自分なりの戦い方を見つけられれば、合格の可能 性は上がると思う。

2.各モジュールで実施したこと

TOEFL

トップスクールへの合格には105点以上が必要だと思う。純ドメだと高い壁で、私も本当に苦労したが、iBTはかなり英語力のつくテストだと思う。私のスコアは106(R:27、L:29、S:23、W:27)。

【Reading】 単語は「TOEFL3800」、文法はYESの吉井先生の文法クラス受講し暗記。問題集(barron'sなど)は1日1題を解き、間違えた問題、間違えた理由ををノートに記載した。
【Listening】 まずは単語の暗記が必要だと思う。予備校の先生にも「もし一読して英文を理解出来なければ、聞いても分らない」と言われてた。あ る程度、単語、文法の基礎が出来てからは、音を理解するために、アメリカの大学のWebにあった3分ほどの科学系のお題で、スクリプトがあるものを予備校 の先生に紹介してもらって以下を実施した。聞き流しや速聴などの手法もあると思うが、初期の段階ではあまり効果的ではないと思う。
(1)スクリプトを音読(音を聞かない)
(2)音にあわせてスクリプトを見ながら音読※上手く言えなかった事をマークして練習。
(3)音にあわせてスクリプトを見ないで音読
音が取れるようになってからは、頭の中で和訳をせず、英語を聞いてイメージ化することで、速い英語にもついて行けるようになった。
【Speaking】 E4TGのDonaldさんの授業を受講。授業がない時も通勤途中、歩きながら、携帯を片手に練習。iBTのIndependentの問題には、想定回答を数パターンを作って練習した。
【Writing】 アメリカ人の添削サービスを活用。添削を繰り返すことによりパターンがわかり、結果的に得意分野に出来た。

GMAT

ア メリカのトップスクールには680点以上(出来れば700点以上)が必要だと思う。各科目について、なるべく全てを網羅する教材を決めて、それを100% 理解することが大切だと思う。100%と言うのは、誰かに何か聞かれたら(例えばSCで「副詞の使い方は?」など)何も見ずにすぐに答えられるレベル。私 も60~70%の理解で色々な教材に手を広げてしまい、点数が伸びなかった時期が長かったので、教材を吟味して、100%の理解を目指した方が良いと思 う。私のスコアは680(Q:49、V: 34) AWA:4.0。

【Math】 マスアカとOGを主体で勉強。間違えた問題をカード化、及び一日の問題数を決めて繰り返し練習。分らないところは、中学受験や高校受験の参考書を購入して復習。
【SC】 YESの吉井先生の文法基礎講座を受講し、カード化。文法基礎講座は大切な基礎を網羅していて、しっかりと理解し暗記することが必要だと思う。YESで問題演習の授業も受講し、カード化。文法の暗記と、演習を繰り返した。
【CR】 OG(11thとVerbal)に絞って繰り返し勉強。問題のパターン化や間違い選択肢パターンをカードに書き出した。不正解の選択肢の何が間違いかまでしっかりと考えることが大切だと思う。
【RC】 OG(11thとVerbal)に絞って繰り返し実施。TOEFLで単語はある程度覚えてきていたので、GMATのRCに慣れることを目的としてOGに専念。CRと同様に、問題のパターン化や不正解選択肢の分析をしてGMATパターンになれるようにした。
【AWA】 アメリカ人の添削サービスを活用。そこのテンプレートを基本として練習。

エッセイ

江 戸義塾のエドさんにお願いした。アメリカのトップスクールに合格するには、各エッセイのお題に対して、自分なりのストーリーが必要なると思う。私も合格出 来なかった時期は、例えば、キャリアゴールエッセイで、学校にウケそうなキャリアゴールを書いていた。しかし、そのゴールが自分の過去や価値観と結びつい ていなかったり、2次情報をまとめただけだと、毎年沢山のエッセイを読んでいるアドミッションには響き辛いと思う。総合評価なので、エッセイ以外で差別化 出来ている人はそれでも合格する人もいると思う。自分自身を振り返ると、合格した昨年のエッセイは、自分の過去を正直に振り返り、そこからポジティブな意 味を見出し、将来のゴールも自分なりの考えを書くことに専念した。なぜ今MBAが必要なのか、自分は将来どうなりたいのか、自分のリーダーシップスタイル はどのようなものか、などを会社の先輩と議論させて頂きながら、自分なりの考えで書いていった。そして、「同じ会社の同僚でも通じてしまう話になっていな いか」と「学校名を変えても通用してしまうWhy School?になっていないか」という観点でエッセイをチェックした。結果として、一般的にはあまりカッコいいとは言えないエッセイだが、自分にしか書 けないエッセイになって差別化も出来たのではないかと思う。

面接

面 接の練習はエッセイ同様にエドさんと実施。面接はオンキャンパスを選択(Dukeはオープンインタビュー)。また、会社の先輩に付き合って頂き、わざと意 地悪な質問をだしてもらって、変化球が来た場合を練習。オンキャンパス選択にあたっては、英語のハンデもあったが、Dukeも再受験であったため、熱意を 見せるためと、悔いを残さないために選択。結果として、面接官になったアメリカ人の2年生とも意気投合。合格通知の後に、アドミッションからもインタ ビューが高評価だったとフィードバックを頂いた。私の場合はオンキャンパスで幸運にも成功したが、受験生の皆様は自身の状況を冷静に見極めて、選択して頂 きたいと思う。

最後に

海外のMBA受 験は、日本生まれの日本育ちの純ドメには本当に大変な挑戦だと思う。合格までに約5年かかり、私にとっては本当に高い壁だった。しかし、MBAを志して努 力したことは、全く後悔はしていない。新しい世界へ挑戦することにより、勉強、仕事、プライベートの面で自分の意識も変わり、今までの人生で一番成長出来 た期間だったと思う。ある程度仕事も出来るようになって、知識も増え、経験も積んだ20代中盤から30代中盤で、自分の将来のキャリアを考える事や、自分 の過去を振り返って、自分がどういう人間で、何が嫌いで何が好きなのかを理解することは、長い人生を考えると大切な取組だと思う。また、MBAへの挑戦に 苦戦している中、支援して頂いた多くの方々に心から感謝したい。真剣に向き合って頂き、たくさんの助言を与えて頂いたおかげで、自分の視野も広がり、人と しても成長でき、結果として合格までたどり着いたと思う。次のステップとして、MBAへの挑戦を決意された方は、スコアメイキングやキャリアゴール設定に 苦労したとしても、是非、諦めずに頑張って頂きたいと思う。