Class of 2015 – Case1

職歴 陸運(鉄道)9年 (現場研修1年半、不動産開発5年半、広報&広告宣伝2年)
海外経験 5年半(7~12歳)ロンドン
出身学部 文学部
社費/私費 社費

Why MBA?

1) 会社が長期的な成長戦略として掲げる中央新幹線建設事業は、総事業費9兆円に及ぶ国家事業に匹敵するプロジェクトで、2027年の開業を目指している。鉄 道による旅客輸送と、駅ビル等のそれに付随する事業を通じて社会に貢献をしたいと考える私にとって、若手から中堅に差し掛かる年齢となり、日本の社会の在 り方を変えるインパクト(東京⇔名古屋が40分で移動できる!)を持つこのプロジェクトに一刻も早く参画して、リーダーとして尽力したいと強く考えるよう になった。

2) しかし、プロジェクトを俯瞰しただけでも、国や自治体との協議、資金調達、中央新幹線・東海道新幹線を一体運営することによるシェア獲得など、様々な課題 が見て取れた。これから事業が本格的に進んでいくにつれ、超えなければいけないハードルが次々と現れることは確実で、私自身がこれまでのキャリア(リアル エステートとマーケティング)から得た強みだけでは、プロジェクトを強力に推進するリーダーたるに力不足だと痛感した。

3) これまで培った強みを伸ばすとともに、不足しているファイナンス・オペレーション等のハードスキルを学び、リーダーシップ等のソフトスキルもひっくるめて 総合力を徹底的に高めること=MBAを修得することが、未知の困難に立ち向かうリーダーに必要な資質を身に着けるための最短ルートだという結論に至った。 グローバルビジネスの共通言語を学ぶことは、中央新幹線事業と並行して進めている高速鉄道の海外展開プロジェクトにも参画して、日本の社会に留まらず世界 の発展に貢献するチャンスを獲得できると考え、海外留学を決意した。

Why Fuqua?

1) Fuquaは教授陣の質の高さと、偏りのない全方位的な教育プログラムに定評があり、マネジメントに関する体系的な知識を効率的に学びたい私の志向と合致 した。チームワーク超重視の校風は、集団の規律を重んじる鉄道業に相通じるものがあり、学校説明会やビジット時に感じた在校生やAlumni、アドミッ ションへの親近感やフィット感が根拠あるものとして捉えられた。

2) 米国内はもちろん、米国外からも優秀な学生を引き付けるFuquaは、International Studentsの比率が約40%に及ぶ一方で、日本人の数は近年では一学年あたり数名程度に留まっていた。日本を代表してプレゼンスを発揮する絶好の立 場であり、コミュニケーション力やプレゼンテーション力に代表されるヒューマンスキルを向上させ、リーダーシップや国際感覚を育み、人脈を築く環境として 最適だと考えた。

3) 鉄道という公共性の高い事業を手掛けるにあたり、SustainabilityやEthicsをきちんと学びたいという思いがあり、School of the Environmentとして名高いNicholasとのジョイントもあるFuquaはユニークな存在だった。

(番外:けど、これが極めて重要だったりもするが)ノースカロライナ州は気候にも恵まれ、自然溢れる環境で5歳と3歳のキッズを育てたいという妻と私の希望にもピッタリだった。

受験プロセス

英 語の勉強に取り組み始めたのは2011年初から。最初は肩慣らしとしてTOEIC(910点獲得)、英検(1級取得)から始めて、TOEFL対策を始めた のは2011年11月から。海外経験があり、純ドメより有利だとタカを括っていたことがすべての苦しみの元凶だった。 2012年3月に社内選考に合格して2013年秋入学による派遣が決まった。私費の方々からすると金銭面で社費が恵まれていることは間違いないが、スコア メイクができていない場合はその限りではなく、スコアに応じた大学に「行かなくてはいけない」重圧に苦しめられることになるとは、その時は夢にも思わな かった。

TOEFL…目標スコア(105)達成まで約11ヵ月、10回受験

2011 年11月初回受験(92)。3ヵ月後には96まで上昇して、100を超えるのも時間の問題と勘違いする。社内選考中(2012年1~3月)は緊張感が維持 できず、勉強が中だるみした。無事に社内選考に合格するも、その後に受験した数回は、戦略も立てずにただ「受けただけ」で、点数が上がらず(当然)、精神 的なショックを受けただけで無駄だった。

体勢を立て直し、2012年8月の8回目で100を超えて一安心。2012年10月の10回目で、Speakingをリスコア申請して2点上昇させ、目標スコア(105)達成。リスコア制度を知っているかどうかで運命は大きく変わると思う。

GMAT…目標スコア(700)達成できず、5回受験による打ち止めまで約10ヵ月
4回連続で500点台に低迷したが、5回目に代打逆転サヨナラ満塁ホームラン(690)

社内選考合格後、2012年4月から対策をスタート。悪魔のテストであることは露知らず。

2012年8月に初回受験(540)。最初はこんなもんで、これからは上がるしかないなと臨んだ2回目で530が出た時は我が目を疑った。年内受験した 3、4回目でも500点台が続く。会場が麹町から有楽町の帝国ホテル脇のタワーの高層階に変わったこともあり、見晴らしの良い、吸い込まれるような景色に 良からぬ想像が頭をもたげてくるのを必死に抑える。

2013年1月の5回目で690にジャンプアップ。エッセイ執筆にかかりっきりで勉強できたのは試験直前の数日間だけだった。画面に点数が表示された時は思わず拳を突き上げてしまった(YAH YAH YAH風)。

帰国子女だったので、大学受験までは文法の勉強をほとんどしなくて済んでおり、きちんと英語の勉強に向き合う姿勢に欠けていたことが大苦戦の主因。所詮は 小学生の英語レベルだったということで、これを読まれている帰国子女の方がいらっしゃったら、ゆめゆめ油断されませんように…。

Application…軌道修正の連続も、結果的には2nd Roundで合格!

定 石通り、1st Roundで何校か出願して、本命は2nd Roundでと目論んでいたが、上記のようにGMATに最後まで苦しめられ、方針転換を余儀無くされた。TOEFLは2012年10月に片が付いたので良 かったが、そこからはGMATとエッセイの二正面作戦となり、両方とも成果が挙がらず苦しむ。1st Roundでは1校も出願できず。

2012年12月から2013年1月までの2ヵ月は、GMATが500点台にも関わらず、トップスクールへのエッセイを執筆するという「ねじれ」状態で、 精神的に最も堪えた時期だった。GMATの点数が出れば差し替えを依頼することを前提にエッセイに向かっていたのだが、点数が向上する保証が何もない中、 1~2時間程度の睡眠で頑張れたのは、ひとえに自分が負けず嫌いだからなのか、社費特有のプレッシャーからか。

時系列

・ 2013年1月、正月返上でFuqua(2nd Round)を含む5校に出願。
・ GMATの点数が上がってからは事態が急展開して、すべての学校からInterviewのOfferを受ける。
・ 2013年2月中旬、Fuquaは日本でInterviewを受ける。Interviewの数日後、Fuquaを含む3校にキャンパスビジット。
・ 2013年3月中旬、Fuquaより合格通知!

 

受験対策

TOEFL…R28/ L28/ S22/ W27/ TOTAL105

(総論)
・ 当初は独学で対処。後にR以外は人の手を借りた。
・ ブレイクスルーは3点。 ①Rが安定←GMAT勉強の副産物 ②Lが安定←メモの取り方を変えた ③Wが伸びた←文字数を増やせるようになった。これにより、4セグメントが揃って100を超える可能性を高めることができた。
・ NOTEFULLというオンラインのTOEFL対策サービスが、コストパフォーマンスが高くて満足した。

(各論:R)
・ GMATの文法を本気で勉強するようになってから自然と処理能力が向上。
・ 単語は「3800」が良いと聞いていたが、単調な暗記作業は苦手。
・ つまり、TOEFL専用の対策はほとんどしなかった、ということ。

(各論:L)
・ メモの取り方を変えた。体調により下振れすることがあったが、それがなくなった。SとVのつながりを意識して、話題変換の接続詞が出た時は次の一文は集中 して、フローチャートというか、吹き出しをつないでいく形でメモを取った。これにより、細かい情報をAとBに仕分けするという手の問題にも対応できるよう になった。
・ 普段はNHKラジオの英語番組を聞き流して英語に耳を慣らし、メモ取りの練習をテスト数日前に、1日1問やるようにした。
・ これで済んでいるので、帰国子女の有利さで戦ったようなもの。なので、純ドメの方の参考にはならないと思う。

(各論:S)
・ 20-22で安定していたので、ブレイクスルーというものは特にない。費用・時間対効果が最も低いセグメントなので、このスコアが取れていれば100、そして105が狙えると割り切った。
・ 練習はレアジョブだけ。毎日英語を話す=筋トレだと考えたから。AGOSのテンプレートなどを参考に、自分が言いやすい「型」を作って、それに当てはめて いくだけ。Q1・2・3・5はそれで対応。Q4・6はどうせ話せないので、拾えた内容・単語を極力盛り込むようにした。
・ ただ、受験初期に出ていた23が練習を重ねてから一度も出なかった。テンプレートも大切だが、自然な(fluent)英語というのもGraderにとっては重要なのかもしれない。肩の力を抜いて、いま話せることを自分の言葉で話し切る、ということが肝要。

(各論:W)
・ Independentが大の苦手。最初の何回かは、300Wordsすら書けなかったくらい。その後も400Wordsを行ったり来たりで、Goodが 連続して出たのは受験終盤だけ。あまり大きなことは言えないが、やはり文字数を増やすこと(コンピューター採点対策)、具体性(嘘ではないのが理想、スラ スラ書けて文字数も稼げるという一石二鳥の効果あり)に富むことがIndependentでGoodを取る最短のルートだと思う。
・ まずはIntroduction, Body1, Body2, Conclusionの骨子を書き出してしまう。その際、使えるものはCopy & Paste機能を使って増殖してしまう(人間から満点を取る自信はなかったので、機械から点を稼ぐと割り切った)。あとは残された時間で、書けるだけ情報 を盛り込む。偏らないように、Body1、Body2に交互に足していく。Backspaceを使って時間をロスする要因となる「 ' 」の位置には注意 した。
・ IntegratedはNOTEFULLのテンプレートを使ったらGoodになることが多かった。良いと思った手法は取り入れて本番で試してみることも大切だと思う。(時間と金銭的負担が許す範囲で)

GMAT… Q50/ V32/ TOTAL690 (AWA4.0/ IR3)

(総論)
・ 2012年4月から準備を始め、約10か月で目標スコア(700)一歩手前を達成。
・ AGOS、YES、Manhattan GMATで対策した。
・ 2012年11月からはエッセイ作成と並行して進めることになった。思い出したくないくらい本当に大変だったので、エッセイに取り掛かる前のスコアメイク完了が絶対的な理想。
・ 受験制限(5回/年)を使い切ることはおススメしない。Waitlist対策として、GMATのスコア向上が有効な場合があり、その機会を失うことにな る。また、私の場合は大多数の学校の2nd Roundが締め切られた後に5回目を受験することになり、その精神的なプレッシャーたるや、尋常ではなかった。500点台で出願して、スコア向上した際 は差し替えられることの担保を取れた学校を選んで出願する、という自由度のなさで、出願ポートフォリオの作り方としては決して好ましくない。5回目の試験 日をなるべく後ろに持ってきてエッセイ執筆終了後にGMATへと頭を切り替える時間を稼げるように、アドミッションとネゴをしたが、受け入れられたのは結 果オーライだと今でも自分を戒めている。

(スコアが伸びた要因分析)
・ 1~4回目は燦々たる状況(500点台)。4回目受験後、エッセイ作成に専念し、5回目の前に勉強できたのはわずか5日間。1~4回目と、5回目で違った ことは、時間管理が適切だったことだけ。5回目はQもVも時間内に終えた。Vは途中でランダムクリックを挟んで時間を稼ぎ、最終盤のランダムクリック連 打・乱打を避けた。また、ランダムクリック後は相対的に時間をかけ、正解を得られるよう努めた。

・ 【重要】確実に言えるのは、自分が感じる問題の難易度を気にするのは心労を重ねるだけで無駄。ダミー問題かもしれないし、簡単に見えてトラップだらけなの かもしれない。5回目ではないが、Q51を出した時も、拍子抜けするほど簡単な問題が途中で出たことがあり、上記心構えが有効であることを示している。ま た、Qのレベルを高めておくことは、Qが大崩れしないという安心感をもたらし、Vの時間に余計なことを考えずに済み、重要だと思う。

(各論:SC)
・ 最後まで確実に正解だと思って選べた問題はほとんどなかった。が、わずかではあるが、問題作成者の意図を感じ取れる時があった。訓練あるのみ、引き出し増やすのみで、私が最も苦手な作業だった。

(各論:CR)
・ 問題をこなすことによってパターンを見破り、それに応じた心構えをして問題文・選択肢を読むことに尽きる。

(各論:RC)
・ コツコツ読解力をつけることしかない。RCにもCRのような出題パターンがあるので、それに慣れること。

(各論:IR)
・ エンジンをかけるという意味で重要だと思う。導入初年度ということもあり、評価の対象外と明言する学校が多かったが、悪い感触を残して良いことは何もない。
・ 問題の難易度が回によって大きくブレる、という印象があった。5回目は「易」の方に当たり、「今日の自分は冴えている」と暗示をかけるには最適で、これが直後のQの好成績にもつながったと思う。「易」だと感じたのは勘違いで、結果は3だったが。

(各論:Q)
・ 国立文系であれば、チューニングのために試験1か月前からスタートすれば十分ではなかろうか。GMAT的なテクニックはAGOSなり、日本人が書いたものをマスターすべき。
・ 個人の数学力にもよるが、私は毎日数問やって、直前に1パッケージやる対応で万全だった。ベストの教材はManhattan GMATのWebテストだと思う。難しくて時間内に解けないが、やっておくと本番がえらく簡単に感じる。
・ 51を取った時も1+1のような問題が終盤に出たので、惑わされた。

(各論:AWA)
・ TOEFLよりも抑えるべきポイントが良くわからず、点数が伸びなかった。
・ 正直、これに向けて時間を割く余裕はないと思う。テンプレートだけ覚えて、あとは文字数を稼げば、としか分からなかった。
・ 4.0でもFuquaは合格できたので、そこまで力を割かなくても良いのでは、と思う。

エッセイ

(総論)
・ 私は「MBA文法」と名付けたが、自分を大きく、力強く表現することに気恥ずかしさがあり、なかなか慣れなかった。日本語でも遅筆(10年以上前だか、卒 論を執筆した時は400字書くのに1日かかったくらい、凝り性)なのだから、英語では輪をかけて筆が進まなかった。
・ 未来のゴール、過去の成功、リーダーシップ、熱意を持っていることなどはどの学校でも聞かれる。卒業後の姿を明確に描けることが、そのプログラムへの理 解・熱意と同義だと思う。これほど自分の内面と正対する機会は人生で初めてだった。自分の特徴を知るとともに、相手にとって何がユニークに映るかを知るこ とが大切。MBAを受験する外資系や金融系のアプリカントに当初は引け目を感じていたが、鉄道会社(アメリカでは斜陽産業)からのアプリカントは相手に とっては存在そのものがユニークと理解できてからは、逆に強味できると思うようになった。
・ 各学校に固有の設問があり、各学校が求める学生像を描き出すのに役立てていると理解。自分の個性とプログラムにどう貢献するかをリンクさせるように意識した。

(対Fuqua)
・ Applicationの途中の小設問は極めてオーソドックス。
・ Class of 2015の大設問は2問。”Why Fuqua”と”25 Random things”。
・ 前者は家族や友人・同僚に”Why Fuqua”を説明しろという、視点の置き方がユニークだが、オーソドックスなもの。これまでのキャリアと将来のゴール、Team Fuquaへの共感などを書いた。

・ 後者はクセ球に見えるが、受験生のWell-Roundedな輪郭を描き出す良問だと思う。要は、読ませて「お、こいつに会ってみたい」と思わせることが できるかがポイントと理解。自分の過去を振り返り、相手に興味を持たせられ、他のアプリカントから差別化できそうなネタを集めた。自分だけでは分からない ので、家族や友人に聞いてみることも有効だった(アドミッションも推奨していた)。旅行経験、イクメン、ラーメン、PENTATONIX(アメリカのアカ ペラグループ)、睡眠時間(30秒で眠りに就ける)、50kmマラソン(高校が男子校だったので)、などなど。自分を売り込むマーケティングの作業だと思 えてからは、全校のエッセイの中で一番楽しむことができた。

面接

・ TOEFLのSと同様、「筋トレ」の側面が強いと考える。毎日、誰かに自分が何をしたい人間なのかを伝える作業を継続することが大切。レアジョブで、ビジ ネスを専攻していた講師を毎日とっかえひっかえして、初めて話を聞く人にも伝わる話し方、表現を探り出していった。
・ エッセイや他の書類からは読み取れない人物像やフィット感を探ることが相手の目的なので、この場で自分を偽ること(それができるだけの英語力があれば、で すが)はミスマッチにつながりかねないと思う。自分の姿をさらけ出す(準備をしない、という意味ではなく、自分のことを知ってもらう努力をするというこ と)こと、その上で相手に受け入れてもらうことが肝要。相手は自分よりも確実にプログラムのことを理解しており、フィットするかどうか判断が適確にできる はず。

最後に

1) もし本当に海外に留学したいと考えているのであれば、最後まで諦めないでください。信念を持っていれば、スコアメイク、エッセイ、面接、なんとかなります。

2) ゴール(目標校と時期)から逆算した受験プランニングを立案してください。しかし、計画は往々にして軌道修正を迫られるものです。固執せず、柔軟に対応し てゴールまでの道のりを血眼になって探してください。序盤から順調にハードルを超えることが理想的ですが、9回裏にサヨナラホームランが出ることもありま す。頑張ってください。

3) 特に、留学することが確定している社費の方は、自分がどこまで本気で、こだわりを持って取り組めるか、「背水の陣」で臨めるかが運命の別れ道だと思いま す。戻るところがあるということは、誰よりも学校生活に没頭して、リスクを取って、いろいろなチャレンジができるとも言えます。そう考えると、私費の方に も負けないパッションをアプリケーションに注ぎ込めると思いませんか?